味泥の大賊長次郎の失踪
どんな伝承か
味泥付近はもとの天領で幕府直轄の地であった。長次郎の被害が多くなると、代官所からか飾磨県からか、二十人ばかりの捕手が長次郎捕縛のため味泥へ向かった。暖かな朝日が松原に射す道で、前方から一人の僧侶が来た。捕手の頭領が長次郎の動静を尋ねると、僧は「今も来る道で悪いことでもして帰るらしいところを見かけた、恐ろしい奴だからよほど用心しないと捕り逃がす」と告げ、静かに歩き去った。捕手が村役人の案内で長次郎の家を囲むと、家には誰もいなかった。長次郎はその日限り村から姿を消し、二度と味泥へ帰らなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(二)(田中貢太郎・日本の怪談シリーズ・明治末~大正期(推定))