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他村では大胆な盗みを働くが自分の村では一切盗まない名物泥棒がいて

所在地兵庫県神戸市灘区味泥町(摩耶山)
年代明治初年
登場味泥の長次郎、泥棒、友人の父
出典奇談全集 現代篇

どんな伝承か

神戸高等商業の付近、御影石で知られる御影から西北にあたる、摩耶山を背にした摂津国菟原郡味泥村に、明治初年、味泥の長次郎という有名な泥棒がいた。他村では思い切ったことをやるが自分の村では一本の藁も盗らないので、村では誰も憎まなかった。友人の父が「俺の家のあれを盗ってみろ」と挑むと、いつの間にか品が消え、長次郎がにこにこ笑って持って来る。あるとき長次郎は摩耶山の本尊摩耶夫人の仏像を外国人に売ろうと堂に忍び込んだ。背負って縁側へ出て階段を下りかけるたび、昼のようだった月が黒雲に呑まれ風が唸り出す。三度目に彼は断念し、仏像を元へ返して手を合わせ山を下りた。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

奇談全集 現代篇(田中貢太郎・奇談全集・大正~昭和初期(推定))

本書『奇談全集 現代篇』は、田中貢太郎による幕末から昭和初期にかけての日本各地の怪談・奇談を集成した作品である。明治維新期の松木事件から関東の連続殺人鬼事件まで、実地取材に基づく歴史的事件の記録と、民間に伝わる幽霊譚・怪異現象が混在している。特徴は、単なる怪談の創作ではなく、実在の地名・人物・事件を背景に、社会的矛盾や人間の怨恨が生み出す超自然現象を描く点にある。

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