遠山奇談という作り本
どんな伝承か
遠山奇談という書物は、近年まで古本屋によく並んでいたが、あまり感心できない本であった。京都大火の後、本願寺再建のために用材を探しに遠州の山奥、遠山という土地へ旅した僧の見聞録という体裁をとっているが、事実らしいのは第一巻だけで、残る四巻はすべて作り事、都会に住む者の乏しい知識から生まれた空想で満たされている。どの道を通って遠山に入ったかも、部落や家の名も一つも挙げられておらず、この本のおかげで遠山という山村が京の人々に広く知られるようになったことは確かなようである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。