諏訪へ千頭の鹿を供えた伝説と耳裂鹿
どんな伝承か
いわゆる秋葉街道の更定以前、諏訪路とも遠山通りとも呼びたい山あいの交通があった。遠山という荘園名は外から付けたもので、恐らく最初は今の大鹿村にかけての広い区域が遠山であり、これを命名したのは諏訪の御社の奉仕者たちであった。一千の鹿の頭を供えたというのは伝説に過ぎぬだろうが、いわゆる耳裂鹿の不思議はこの山地に属している。加えて鹿塩には塩の泉があり、附近の住民はこれを庖厨の用に充てていたので、山村ながら近くの小市場に隷従せねばならぬ不利を免れていたのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。