郵便袋をめぐる船と島の駆け引き
どんな伝承か
近ごろ耳に入る青ヶ島の便りは、不自由な島だという話ばかりである。島は命令航路の寄航地で、月に一度は郵便物を積みに船が来る決まりだが、浜の条件が悪いので船側は早く離れたがり、島側は少しでも産物を積ませたくて、わざと郵便袋を出すのを渋るのだという。筆者の友人も島人の家へ招かれ、あれこれ食べ物を勧められて引き止められた。船へ戻ると船長がひどく腹を立て、今度こんなことがあれば置いて出ますよと言ったそうだ。もっとも、この島へ二度も行く人はまずいない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。