儀部鉄人
どんな伝承か
昔、武士の娘が妊娠したので鉄を煎じて飲ませたが流産しなかった。臨月になると腹の子が、母が生きるのと自分が生きるのとどちらがよいかと問い、母は自分が死んだほうがよいと答えた。まもなく腹をかき切って生まれた子は、喉のほか体じゅうが鉄でできていた。この人が成長して京阿波根親方となった。鹿児島が戦を仕かけたが親方にはかなわないので、理髪屋を誘って喉元を切りつけて殺させた。死んだと聞いて再び攻めかけたが、死体の口から湧く蛆虫をハチャグミと見間違え、親方はまだ生きていたとして鹿児島の連中はみな切腹した。それで親方は「生きて千人、死んで千人」と言われた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第15巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全185話(奄美・沖縄=南西諸島)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。