タンタン竹女
どんな伝承か
長崎市夫婦川町にある春徳寺から五百メートルほど先に、行手を防ぐように大岩が小丘を形づくっている。この大岩を人は竜頭巌と呼び、竹でたたくと岩の精が「たんたん竹女」とやさしく答えるという。竹には相思相愛の貞之助という若人がいたが、彼に末世を誓った女性がいると知ってから心は乱れがちになり、それでも忘れえず、一管にたくして哀恋の情迫る呪いの笛を吹きつづけた。ある夜、谷をへだてて絶妙な笛の音が伝わってくるのを耳にし、持主をたどってみると貞之助と瓜二つの少年で、住倉与四郎と名乗った。二人のあいだにはいつしか恋のささやきが交わされる。竹はいつものように笛を手に家を出たが、その夜は帰らなかった。翌朝ぼんやりたたずむ竹を家人が連れもどし、その夜も出ようとするのを父が許さなかった。竹はその夜から重病に臥し、指の間から蛇のうろこが落ちた。招かれた修験者は蛇の魔性に災いされていると答え、魔性退散の祈禱を行うと竹の健康は回復し一変した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第13巻』所収の「文化叙事伝説」全35話(福岡・大分・佐賀・長崎=北九州)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。