古井戸の螢が導いた御殿と姫
どんな伝承か
見沼のほとりに、笛の巧みな小笛という少女が住んでいたという。ある晩、笛を吹きながら歩いていると、同じ調べが返ってくる。こだまかと思って進むうち古井戸へ落ちかけ、音がその底から来ていると気づいて中をのぞくと、無数の螢が一斉に舞い上がった。ひときわ大きく美しい一匹が招くように飛ぶのを追うと、竹やぶの奥に立派な御殿があった。迎えに出た姫は、自分はかつてこの地にあった城の姫で、落城のあと一族もろとも螢になったと明かし、光り出す前のわずかな間だけ好きな笛を吹いていると語って、供養塔を建ててほしいと頼んだ。村に戻った小笛が皆に伝え、大和田に塔が建てられたという。
原典より
昔、見沼のほとりに小笛という笛の上手な少女が住んでいた。—— 浦和市史 民俗編――伝説(浦和市(編)・浦和市史・自治体史(民俗)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
浦和市史 民俗編――伝説(浦和市(編)・浦和市史・自治体史(民俗))
『浦和市史 民俗編』第十章所収の伝説。埼玉県浦和市(現さいたま市)に伝わる口承を採録する。