弘法大師と芋
どんな伝承か
山梨県北巨摩郡須玉町江草に伝わる。昔、武田氏の支族である長者が江草村南方の長者ヶ原に居を構えていた。ある日、修験者姿の弘法様が巡歴の途中この原へ来て、折から拵えていた饅頭を恵んでほしいと乞うたが、強欲な長者は「この饅頭は石です。堅くて召し上がれません」と断った。大師が黙って立ち去った後、饅頭は真の石と化し、長者の家からは水が涸れ、災いが続いて一家は四散した。長者の姫は一人牛に乗って茅ヶ岳山麓を北へ進み、牛石窪で死を選んだ。亡骸を葬った石碑を妙体石と呼び、腰の痛みに効くと祈る者が多い。殉じた牛も石となり、里人は牛石と呼ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。