片葉の芦
どんな伝承か
昔、五嶋の地に一軒の豪農があり、旅に迷った若者が世話になった。若者は都のある公卿の一人息子で尺八をよく吹き、この家の年頃の一人娘およしは琴をよく弾じた。若者が食客となって日々襖を隔てて娘と調べを合わせるうち、二人は相思の仲となった。しかし若者の家では八方に人を走らせて行方を探し、帰る気のない若者を無理に都へ連れ去ってしまった。およしの悲しみは言うばかりなく、沼に身を投げた。その思いは芦になって、年々西を向いた片葉の姿でその地に生えるのだと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第7巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全97話(愛知・岐阜・長野・静岡=中部)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。