八百比丘尼
どんな伝承か
福井県遠敷郡上中町堤(現若狭町)で記録された話。諸国行脚の六部が、佐渡の羽茂村の羽茂長者の家に一宿した。長者が宝物を次々に見せても六部は問題にしない。六部が小さな石塊を盆に載せると、霧が吹き出して黒雲がわき起こり雨が降り、やがて島の形に人家や樹木が見え、白椿が咲き、黄昏時には鐘撞堂から少女が下りてきた。長者は宝物すべてとの交換を求めたが六部は断り、代わりに不老長寿の霊肉を差し出した。翌日、長者が騙し討ちにしようとすると六部は石塊を投げて逃げ、石は門石に当たって砕けた。石を片づける折に霊肉を袂へ忍ばせた老僕が帰宅すると、島の少女が娘の姿で出迎え、二人は父娘として暮らした。娘は棚の霊肉を食べたため、いつまでも十五、六歳のままで、八百歳のとき若狭の殿様に寿命を譲って生涯を終え、八百姫明神と祭られたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第6巻』所収の「文化叙事伝説」全44話(福井・富山・石川=北陸)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。