鉢伏の片目の鮒
どんな伝承か
昔、お石という女が、新道の池の谷というところへよもぎを摘みに来た。谷には大きな池があり、摘むうちに暑くなったお石が顔を洗おうと池をのぞくと、水に映った自分の顔は一面にうろこが生えていた。大蛇に変じたことを悲しんだお石は、そのまま池へ飛びこんだ。帰らぬ娘を案じて捜しに来た親の前に現れたお石は、もう家へは帰れないと言い、赤飯を一斗蒸して持ってきてほしいと頼む。子が乳を欲しがって泣くと聞くと、自分の片方の目玉をくりぬいて渡し、泣いたときにしゃぶらせよと言った。それでここに住む蛇や蛙は今も片目だといい、池や川で水鏡をしてはならないと言い伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第6巻』所収の「文化叙事伝説」全44話(福井・富山・石川=北陸)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。