西行がつくった人造人間
どんな伝承か
西行が高野山の奥に隠遁していたころ、寂しさに耐えかね、昔伝え聞いた秘伝を使って野ざらしの骨を集め人間を作ってみた。できあがったものは人の形はしていたが、肌は汚い色で声は壊れた楽器のようであり、何より魂が入っていなかった。がっかりした西行はこれを森の奥に捨ててしまう。気になった西行は京に出て呪術の大家に作り方を尋ねると、香の焚き方が間違っていたと教えられたという。この呪術者はすでに何人もの人造人間を作り、なかには大臣にまでなった者もいるといい、安倍晴明もまた師の秘術で蘇生した一種の人造人間だったのではないかとも語られる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
呪術と占いの日本史(渋谷申博・瓜生中・呪術・占い史・現代(解説))
渋谷申博・瓜生中『呪術と占いの日本史―歴史を動かし庶民が信じた知られざる闇の系譜』。古代から近世まで、日本史を動かした呪術・占い・呪詛・怨霊を時代別に解説する。第一章(古代)では屈葬・土偶の人形呪術・鳥信仰、卑弥呼の鬼道、大国主尊伝説、トコヒの呪いと盟神探湯(ウケヒの審判)、妖怪にされた土蜘蛛、景戒の夢占い、人柱伝説、橘奈良麿の僧人形・子狐串刺しの呪詛、童謡の予言、道鏡と宇佐神宮の託宣、怨霊の祟りと遷都を扱う。