カドの大松の根元に組むアランタナ
どんな伝承か
新仏のための盆の祭りは、ふつうの精霊のそれより手厚く営まれるのが常だが、土地によっては、その祭壇が家の仏の壇とは別に、無縁仏の棚と同じように外へ設けられる。奈良市の押熊で言うアランタナがそれで、家のカドに枝のついた大きな松を立て、その根元に壇をこしらえる。新仏はまだ十分に清まって落ち着いた霊ではなく、人にいくらかの不安を抱かせる。その点で無縁仏に通じるところがあるため、こうした扱いを受けるのだろうと著者は見ている。神奈川県吉浜村で杉の葉をめぐらした小棚を軒に掛けるトーローも同じたぐいである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・昭和(民俗学))
民俗学者・最上孝敬『霊魂の行方』。日本各地の葬送習俗を実地調査し、死者の霊魂がどこへ行きどう処理されるかを論じた葬送民俗研究の集成。