下唐櫃多聞寺の信徒寺
どんな伝承か
神戸市の北方山間、有馬温泉の近くの旧有野村下唐櫃に、多聞寺という真言宗の寺がある。すこしはなれた上唐櫃という部落にも関係のある寺だが、檀徒をもたない信徒寺で、葬式や法事には全くかかわらず、びしゃもんをまつること、あたかも神社が神をまつるのと変わりがない。葬式や法事は、下唐櫃の恵念寺、上唐櫃の西光寺という檀徒寺がいとなむ。びしゃもんの祭は昔は旧一月十三日、今は二月十三日で、多聞寺のオトーと呼ばれる。当番は二、三日かけて供物をととのえ、紅三枚と白二枚を交互に重ねた五つ餅と、カワラケにもった山海の珍味を供える。当番は一年間、葬式や法事に立ち寄らぬほど厳重な忌に服した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・昭和(民俗学))
民俗学者・最上孝敬『霊魂の行方』。日本各地の葬送習俗を実地調査し、死者の霊魂がどこへ行きどう処理されるかを論じた葬送民俗研究の集成。