二人妻
どんな伝承か
京の役所に勤める下級官吏の若い男が、右京のはずれに妻と二人で住んでいた。ある晩、妻が近所へ用足しに出たまま戻らず、小半刻ほどして裾を払いながら帰って来る。ところが直後に、姿も容も身につけた物も声までも寸分違わぬもう一人の妻が入って来た。狐の仕業と怒った男が太刀を振り上げて一方に躍りかかると泣きわめき、もう一方を追えばこれも手をこすり合わせて泣く。やがて二人は髪や手足を掴んでの大乱闘を演じ、先に帰った女の方が怪しいと見た男が掴みかかると、女は臭い小便を浴びせて一匹の狐と化し、鳴きながら開いた戸口を逃げ去ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の妖怪(早川純夫・早川純夫・妖怪史・昭和)
早川純夫『日本の妖怪』。神話時代から江戸まで、日本の妖怪と妖異を歴史の流れに沿って描く。