備中松山の盲人に化けた狸
どんな伝承か
『中陵漫録』に、備前・備中では狐より狸の害が多いと記される。先年、備中松山の近辺に一匹の老狸がおり、月夜に見ても人と変わらず、言葉も人と同じで、さまざまな戯言をなした。人が鳥銃で撃とうとすると、たちまち化けて姿を消す。この狸は盲人に化け、手引きに手を引かれて毎月二、三度ずつ作州へ通っていた。ある日の白昼、犬が現れて盲人と手引きをともに噛み殺した。人々が驚き駆け寄り、一、二刻ののちに大きな狸となったので、はじめて備中の狸であったと知れたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・大正・昭和初期)
博物学者・日野巌の古典的妖怪研究『動物妖怪譚』の前半(總論〜多爾具久)。