北見猪右衛門の虫除け札
どんな伝承か
『嬉遊笑覧』によれば、江戸に近い北沢という所に住む百姓の猪右衛門は、まむしなど毒虫に刺された者へ奇薬を与えて評判となり、のちにはその名を記した札を戸口に貼って虫除けのまじないとするようになった。相州津久井県の逸見氏という元医師が、その家伝の術を猪右衛門に伝えたのだろうという。稀薟葉や蒼耳葉の汁に胡椒粉を溶いて塗り、歌を唱える療法だったと伝わる。北見猪右衛門の家は天保のはじめに絶えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
井上円了 妖怪学講義(井上円了(平野威馬雄 編著)・井上円了・妖怪学・明治(原著)・現代(編))
哲学者・井上円了(妖怪博士)の畢生の大著『妖怪学講義』を、平野威馬雄が編んだ普及版。円了は真の宗教信仰の障害となる迷信を打破するため、あらゆる妖しきものの正体究明に一身を捧げ、妖怪を物怪・心怪・理怪に大別し、物怪心怪を仮怪(説明可能な迷信)、理怪のみを真怪とした。本書は理学・心理学・宗教学・雑の各部門から具体例を抄録する。序ではコックリ(狐狗狸)を西洋のテーブルターニング由来の無意識筋肉運動と解明。