弘法大師本尊下の土で虫害除け
どんな伝承か
佐賀県杵島郡の福富村では、大正時代まで、虫の害を防ぐために佐賀市のある寺から弘法大師の本尊の下の土をもらい、田に撒いていたという。この寺はかつて六府方の干拓工事に一万人もの人夫を出して藩を助けたことがあり、その功によって、信徒を集める手だてとしてこうした土を出すことが許されたものと考えられている。社寺が風除けや蟹除け、虫除けに効くとして守り札を出す例は少なくなく、豊凶の判断や虫除けを許された社寺は大きな権威を与えられていたとみられる。
原典より
福富村の農民が、大正時代まで虫害除去のため佐賀市某寺の弘法大師本尊下の土を撒布していた例は、…—— 日本人の生活と迷信(今野圓輔・森秀男・今野圓輔・民俗学) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人の生活と迷信(今野圓輔・森秀男・今野圓輔・民俗学)
『日本人の生活と迷信』は、今野圓輔と森秀男による、現代の日本人の暮らしに残る迷信と俗信を論じた本である。文部省の迷信調査協議会が昭和二十年代に二度行った全国調査の数字を引き、十二支や丙午、日の吉凶、家相、厄年、まじない療法、食い合わせ、農作業の禁忌、幽霊・妖怪・河童・憑きもの、便所神や道祖神などを取り上げる。迷信の種類と分布に始まり、医薬、暦と方角、農村、前兆・予知、妖怪、神々と信仰の順に説く。