卯月八日は吉日よ
どんな伝承か
昔、正能の名主をやっていた正能文覚家には、次のようないい伝えがある。毎年陰暦四月八日には、半紙半分ほどの紙に、当家の主人が「ちはやぶる卯月八日は吉日よ。神さけ虫よ、成敗ぞする」と墨書していた。虫の字は逆に書く。またこの日は草餅を作るが、そのつきたての草餅をちぎり、のりのかわりに紙につけて便所の内側の壁にはりつけた。訪ねてきた人びとはこの不思議な紙を見て「これはなんだい」と聞くが、ならわしがいつどんなことで始まったのか理由はわからない。便所の虫を退治するまじないだったのか、四月八日が花まつりの日であることと関係があったのか。この行事も、おばあちゃんが亡くなってからは行われなくなった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史・自治体史(民俗))
『騎西町史 民俗編』第9章所収の伝説・昔話・妖怪。埼玉県騎西町(現加須市)に伝わる口承を採録する。