洪水で流れ着いた獅子頭とササラ獅子舞
どんな伝承か
昔、荒川の堤が切れて大洪水になったとき、上種足の八幡にある稲荷さまの山林に、何かが流れ着いて引っかかった。枳立の耕地の人が拾い上げてみると獅子頭だったが、自分たちには使えないと言って、また水に流してしまった。獅子頭はそのまま下流の星川へ流れ、こんどは中居の人々が拾い上げた。中居の人々はこれを珍しくありがたい物として、ササラ獅子舞を始め、それから一年も欠かさず舞い続けている。獅子頭は舞のほか、村中を祓い清める祈禱にも使われている。一方、獅子頭を流した枳立の人々は、どんな踊りもしないといわれる。
原典より
中居の人たちは「この獅子頭はめずらしいありがたいものだ」といって、それを用いてササラ獅子舞をはじめ、それ以来今日までずっと毎年続けて、やめたことがありません。—— 騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史)
『騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪』は、騎西町が編んだ町史民俗編のうち、方言一覧の末尾と第9章「伝説・昔話」を収めたものである。調査協力委員や地域の老人クラブを通じて集めた二十八話で、久伊豆明神(玉敷神社)の獅子、雷電社の雨乞い、和尚の説話、いぼとり地蔵、入定塚、念仏橋、狐やムジナに化かされた話などを、話者名や郷土誌の出典を添えて載せる。章のはじめに伝説と昔話の違いを述べ、神社・寺堂・塚と橋・行事のいわれ・妖怪談の五節に分ける。