アサダの木から落ちた水とご神湯
どんな伝承か
昔、玉敷神社の境内の森で、アサダという木の上から水が滴って根もとにたまった。薬水として近くの人ばかりか遠方からも竹筒を手にもらいに来る人が絶えず、これを神のお助け水として井戸を掘り、その水に神水を入れて風呂を立てたのが、明神のご神湯の始まりという。湯は難病、とりわけ皮膚病や傷に効くとされた。初午の日に風呂を立てると火事になると言われたが、明神の神水で沸かせば差し支えなく火除けにもなるとされ、初午には水をもらいに来る人が多かった。湯場では縁に腰掛けない、唾を吐かない、歌わないといった決まりもあった。いま湯場は無く、神木の井戸だけが残っている。
原典より
この水は薬水といわれ、近くの人はもちろん、遠方からも竹筒をもって貰いにきました。—— 騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史)
『騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪』は、騎西町が編んだ町史民俗編のうち、方言一覧の末尾と第9章「伝説・昔話」を収めたものである。調査協力委員や地域の老人クラブを通じて集めた二十八話で、久伊豆明神(玉敷神社)の獅子、雷電社の雨乞い、和尚の説話、いぼとり地蔵、入定塚、念仏橋、狐やムジナに化かされた話などを、話者名や郷土誌の出典を添えて載せる。章のはじめに伝説と昔話の違いを述べ、神社・寺堂・塚と橋・行事のいわれ・妖怪談の五節に分ける。