刀の刃を素足で曲げた行者
どんな伝承か
長清寺の観音堂には、儀蔵坊という行者が住んでいた。ある日、村人たちと酒を酌み交わすうち、刀の刃渡りの術ができるかどうかで言い争いになった。旧家の一人が見事な長刀を家から持ち出し、これでやって見せろと迫った。儀蔵坊は少しもひるまず、しばらく呪文を唱え、酒を霧のように吹きかけて足袋を脱いだ。素足で刃の上に立つと、気合いもろとも刀を曲げてしまった。持ち主はすっかり恐れ入り、その刀を円通寺に納めたという。明治の初めごろの出来事と伝わる。
原典より
素足で刀の刃の上に乗ると、気合いとともに刃を曲げてしまった。—— 栃木市史 民俗編――伝説・民話(栃木市(編)・栃木市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
栃木市史 民俗編――伝説・民話(栃木市(編)・栃木市史)
『栃木市史 民俗編――伝説・民話』は、市史民俗編の第九章「言語伝承」のうち「伝説・民話」と「木遣り」の二節である。芝塚山の太刀割り石、有馬皇子とこのしろ、源義家や弘法大師にまつわる地名伝説、狐の嫁入りやむじなの怪、あづきっとぎなど、市内に伝わる伝説・民話と昔の子供の思い出を収める。前半の十一話には末尾に原話者(一部は採話者も)の名を記し、節の終わりに鳶の木遣りと田歌の詞章を載せる。