剛の発病と激痛に苦しんだ千代の死
どんな伝承か
昭和二十二年には良助の妻千代が、翌二十三年には三男の剛が、相次いで倒れた。千代は積もり積もった心痛で床に伏し、剛はある日突然、目に見えない何かに責めさいなまれるように悶え苦しんだ。強気の英男もさすがに心を痛め、あちこちに除霊や祈祷を頼んだが、どれも効き目はなかった。入院していた良助とフミが家へ戻った頃から、千代の全身の痛みはいっそう激しくなり、医者の注射も薬も効かず、千代は源兵に死なせてほしいと頼むほどだった。一時は痛まない時間が延びて快方を思わせたが、数か月で再び絶え間ない痛みに襲われ、昭和二十六年三月、千代は自室で首をつって命を絶ったという。
原典より
剛坊ちゃんは、ある日突然、目に見えぬ何かに痛めつけられたように、悶え、苦しみ、倒れたのです。—— 恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年))
『恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話』は、中岡俊哉が一九七六年に著した『悪霊があなたを狙う』(双葉社)のうち、まえがきと目次、第一話「“幽霊屋敷”悪霊のたたり」を収めたものである。千葉県館山市上野原の網元本間家で、娘の神隠しを発端に一家が絶えるまでの出来事を、元下男の源兵じいさんが著者に語った聞き書きの形で記す。目次には悪霊憑依の実話十一話の題と、霊魂の存否と悪霊対策を論じる「悪霊を除く法」の章が並ぶ。