行者が告げた血の自画像と二度の捜索
どんな伝承か
昭和二十年の正月、本間家に一晩泊まった旅の行者は、客間で坐禅を組んで経を唱えたのち千代と英男を呼び、この家には人の血で描かれた絵があるはずだと言い出した。割腹して果てる前に自分の血で描いた自画像で、描いたのは先祖ではなく先祖に仕えた者だという。二人に覚えはなく、古くからいる女中のおまきも源兵も聞いたことがない。英男が十人近くで屋敷中を探しても見つからず、行者は早く探し出せと言い残して去った。二年後、千代と剛が倒れると、英男は行者を探させたが行方は知れず、褒美を約して蔵や納屋、押し入れ、たんすの底まで探させたが、絵はやはり出てこなかった。
原典より
「その絵を探し出さなければ、この家のたたりは解けませぬぞ」—— 恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年))
『恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話』は、中岡俊哉が一九七六年に著した『悪霊があなたを狙う』(双葉社)のうち、まえがきと目次、第一話「“幽霊屋敷”悪霊のたたり」を収めたものである。千葉県館山市上野原の網元本間家で、娘の神隠しを発端に一家が絶えるまでの出来事を、元下男の源兵じいさんが著者に語った聞き書きの形で記す。目次には悪霊憑依の実話十一話の題と、霊魂の存否と悪霊対策を論じる「悪霊を除く法」の章が並ぶ。