盗まれて戻った西ノ谷のいぼとり地蔵
どんな伝承か
西ノ谷の金仏地蔵は、村人からいぼとり地蔵と呼ばれている。昔は加藤家の長屋門の中にあって参りにくかったので、堀越家の石碑の立つ所へ移され、そこはいまも地蔵屋敷と呼ばれる。いつのころか、この地蔵が盗人に持ち去られた。重すぎるので盗人は大八車に載せて鴻巣宿の方へ向かったが、中山道に出る前に田んぼへ突っ込んでしまった。朝早く地蔵が無いのに気づいて驚いていた村人のもとへ、鴻巣へ行く途中の田んぼ道に地蔵が転がっていると知らせが届き、村人総出で迎えに行った。その後は今の場所に祀られ、盗まれたときに失ったのか錫杖も無いまま、久伊豆社の脇に立っている。
原典より
信仰心の厚い西ノ谷の村人たちは、朝早くいぼとり地蔵が盗まれているのに気がつき、大いに驚きました。—— 騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史)
『騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪』は、騎西町が編んだ町史民俗編のうち、方言一覧の末尾と第9章「伝説・昔話」を収めたものである。調査協力委員や地域の老人クラブを通じて集めた二十八話で、久伊豆明神(玉敷神社)の獅子、雷電社の雨乞い、和尚の説話、いぼとり地蔵、入定塚、念仏橋、狐やムジナに化かされた話などを、話者名や郷土誌の出典を添えて載せる。章のはじめに伝説と昔話の違いを述べ、神社・寺堂・塚と橋・行事のいわれ・妖怪談の五節に分ける。