昭和二十年五月のこと
どんな伝承か
昭和二十年五月、パラチフスが流行し五月五日に入院した。入院二日目頃から下痢と高熱がひどくなり、一時は危篤状態に陥った。熱に浮かされていたとき、澄んだ水の向こう岸に色鮮やかな花が咲き誇る花畑が見え、遠くで誰かが呼ぶ声や小鳥の声も聞こえた。水に足を入れようとするたびに母に起こされ、薬やスープを飲まされた。七月三十一日の午後に退院し、後にあれは三途の川を渡ろうとしていたのだろうと振り返っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。