水より福を汲めと唱える元旦の若水汲み
どんな伝承か
元旦の朝、六時ごろに起きて宮参りをすませると、戸主か女の者が注連縄を井戸へ持って行って飾り、祓いをしたうえで、年神さんが来る方角に向かって手を合わせる。そして、年の始めに若水汲まば、水を汲むより福を汲め、福を汲め、と唱えながら水を汲みあげた。この水は持ち帰って茶釜に入れ、茶を沸かす。これを福茶といい、家長を先頭に右まわりで椀をまわし、茶菓子とともに飲んだ。水道が引かれるより前まで続いた行事である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編)・自治体史(民俗))
『島根県出雲市大塚町民俗調査報告書』所収の俗信・憑きもの・民間療法。出雲平野の大塚町に伝わる心意現象を採録する。カラスの鳴き声で天候を読むアレガラスの予兆、イチヂク・ビワを植えぬ・便所に南天を植える屋敷の禁忌、キツネに憑かれることを『サバラレル』という狐憑き、繁盛するゆえ嫉まれ村八分で結婚に難のあった憑きもの筋『キツネモチ』、着物の裾を結わいたり小豆を井戸に落とすものもらいの呪術的民間療法などを収める。