屋敷の木と便所の南天の禁忌
どんな伝承か
出雲市大塚町では、食べ物や作物についての禁忌はとくに語られない。かわりに厳しいのは屋敷まわりの木である。宅地の内にイチジクやビワを植えるのは忌まれ、木によっては一本だけ植えるのはいけないが二本なら差し支えないとされた。便所の前には南天を植える習わしがあり、これは不浄な場所であるがゆえに、悪い病を寄せつけないためだという。また屋敷の北の隅に汚れたものを置くことは禁じられ、そこはつねに清らかに保たねばならなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編)・自治体史(民俗))
『島根県出雲市大塚町民俗調査報告書』所収の俗信・憑きもの・民間療法。出雲平野の大塚町に伝わる心意現象を採録する。カラスの鳴き声で天候を読むアレガラスの予兆、イチヂク・ビワを植えぬ・便所に南天を植える屋敷の禁忌、キツネに憑かれることを『サバラレル』という狐憑き、繁盛するゆえ嫉まれ村八分で結婚に難のあった憑きもの筋『キツネモチ』、着物の裾を結わいたり小豆を井戸に落とすものもらいの呪術的民間療法などを収める。