抜けた歯をねずみと取り換える唱えごと
どんな伝承か
大塚町の歯にまつわる療法では、桑の木を細く削いだものを痛むところで噛み、その桑の先に灸をすえながら唱えごとをした。唱えるのはアブラオンケンソワカで、三度くり返す。医者倒しと呼ばれるアロエを患部に当てることもあった。子供の歯が抜けたときには、上の歯は縁の下へ、下の歯は屋根へ向かって、ねずみの歯と取り換えてくれと唱えながら投げるならわしであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編)・自治体史(民俗))
『島根県出雲市大塚町民俗調査報告書』所収の俗信・憑きもの・民間療法。出雲平野の大塚町に伝わる心意現象を採録する。カラスの鳴き声で天候を読むアレガラスの予兆、イチヂク・ビワを植えぬ・便所に南天を植える屋敷の禁忌、キツネに憑かれることを『サバラレル』という狐憑き、繁盛するゆえ嫉まれ村八分で結婚に難のあった憑きもの筋『キツネモチ』、着物の裾を結わいたり小豆を井戸に落とすものもらいの呪術的民間療法などを収める。