例一二 蚊帳の中へ出た幽霊
どんな伝承か
明治二十七年の夏、京都から本願寺派の女説教師・松下政子が広島の国泰寺に赴き説教を行った。その最初の夜、八畳の座敷に蚊帳を吊って女中と共に休んでいたところ、政子は蚊帳の外の行灯の明かりの中に、三十歳ほどの丸髷姿で俯いた女性が座っているのに気づいた。その体は透き通っており、蚊帳の外の襖の模様が透けて見えたという。政子が大声で人を呼ぶと、その部屋は数日前に病死した住職の妻の寝室であったことが判明した。
原典より
明治二十七年の夏、京都から本願寺派の女說教師の松下政子が廣島へ行き、國泰寺に泊って説教をしたが、その最初の夜のことであつた。—— 心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期)
心霊研究家・岡田建文の『心霊不滅』。唯物科学を批判し、肉体死後も心霊(心識)が不滅であることを古今東西の事例で立証しようとする心霊科学書。序説でイオン研究所のエーテル体撮影や、神戸の歯科医方で死去した令嬢朝子の消息を語ったセキセイインコ、タイタニック沈没時の挿話を置く。