倭姫命と天照大神の伊勢鎮座
どんな伝承か
日本書紀によれば、垂仁天皇二十五年三月、天照大神が倭姫命に憑いて託宣を下し、伊勢の地に鎮座したと伝えられる。これは古代の憑霊年表に記された神代からの一連の託宣・神憑りの事例のひとつであり、崇神天皇代には倭迹迹日百襲姫命への神明の憑依、景行天皇代には日本武尊が天皇の霊威によって熊襲を平定したことなど、王権と神霊の交感を示す記録が連なっている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人の霊魂観――鎮魂と禁欲の精神史(山折哲雄・山折哲雄・宗教学・昭和(1976))
宗教学者・山折哲雄『日本人の霊魂観―鎮魂と禁欲の精神史』(1976年)。日本人の霊魂観念を、遊離魂・天皇霊・憑霊・鎮魂という主題で歴史的・象徴論的に考察する。序章で問題と方向を示し、第一章『遊離魂と殯』では『日本霊異記』にあらわれた霊肉の課題(魂が一日に千里をゆく遊離魂と、死者を仮安置する殯)を論じる。第二章『天皇霊と呪師』では玉躰加持の象徴儀礼を、霊魂は肉体の形相(封蠟と印型)とするアリストテレス的議論を引きつつ分析する。