斧に血を流した大己貴命の神木
どんな伝承か
米谷町の堂田ヵ谷には、大己貴命が降臨した神木として崇められた楠の大木があった。寿福寺の住職隆慶や城主の平対馬守、里の人々がこれを敬っていたが、筒井順慶が金閣寺を模した茶室に楠の一枚板を用いようと巨木を諸国に探させ、この木に目をつけた。隆慶らは伐採に反対したが容れられず、隆慶は割腹して果てたという。順慶が佐保の庄の杣師赤根半六に伐らせても二度までは失敗し、三度目に三輪明神の霊夢で若茗と黒茗を塩水で煎じてかけよと教えられ、ようやく伐り倒せた。しかしその罰で順慶は秀吉の怒りを買い、大和を追われたと伝える。家来が斧を入れると木から血が流れ落ちたという異説もある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史・自治体史(民俗))
『奈良市史 民俗編』第十一章所収の伝説。奈良県奈良市に伝わる木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の伝説を昭和三十七年からの探訪で集成する。