岩鼻の山上の光と火の粉
どんな伝承か
昭和二十三年、雪が降って三、四日たった晩に下小田切から湯原へ歩いていると、急にあたりが満月の夜よりもはるかに明るくなった。車の灯かと振り返ったがそうではなく、雪原の向こうに中小田切の家並みがくっきりと見えた。いぶかしむうちに再び暗くなり、右手を見ると岩鼻の山の上空に明るいものが浮かんで、線香花火のようにちらちらと火の粉を落としていた。やがて火の粉は止み、光は赤く変わってすうっと落ちるように空から消えた。その間およそ二十秒であったという。
原典より
右手を 見ると岩鼻の山の上空に明るいものが見え線香花火のようにちらちら火の粉を落としている。—— 南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。