事例11:十一月ごろ子供のひく風を庚申
どんな伝承か
京都府天田郡三和町(現・福知山市三和町)では、十一月ごろ子供のひく風邪を庚申風邪という。敷居の上に山盛りの御飯を供えると治るという。著者は、これは風の盆の風とは違って病気の風邪であり、疱瘡ほどの猛威はないので疱瘡神ならぬ風邪神とまでは昇格していないようだとし、冷たい空気に接してそろそろ風邪がはやり出すころに供え物をするのだろうとみる。庚申風邪という名称には興味を覚えるとしつつ、敷居の上という供え物の場所は厄神のそれの範疇に入っていると述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・昭和(1988))
民俗学者・佐々木勝が全国の民俗調査をもとに厄除け・厄払いの習俗を日本人の霊魂観から論じた研究書(昭和六十三年)。祖霊信仰・霊魂信仰・厄神信仰を背景に、防塞系呪術(防御型・鎮送型・攻撃型・潔斎型)と祭祀系呪術(供物型・奉迎型)に呪術を類型化する。本文は〔事例〕番号付きで全国各地の具体的習俗を多数収める。