恋路を邪魔した鶏
どんな伝承か
鶏を飼ってはならぬ、その卵を食ってはならぬと信じている氏子や部落は、タブーとされる動物のうちでもっとも多いようである。山形県西置賜郡北小国村から鹿児島県の口の島まで、東北から九州まで点々と、鶏を飼い卵を食うことをタブーさせる氏神が鎮座している。その理由は土地によってさまざまで、出雲の三保ガ関では、事代主命と三保津媛の恋路を鶏が邪魔したからだと伝わる。播州高田村では平家の落人にからんで鶏がタブーとされている。もともと神聖視され、神霊ととくべつな関係にあると考えられていたものが、みだりに接触すべきでないものへ推移した例だと著者は説く。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。