土井家の娘登美が可愛がる牝猫「縞」が
どんな伝承か
明治二十一年、美作真島郡下方村の妹尾与一郎方で生まれた牡猫を「縞」と名づけ、同年十月、備前津高郡井原村の土井敬一がもらい受けて慈しみ育てた。土井家の娘登美がよくかわいがると、縞は登美の号令に従い、その問いに鳴き声の数で答えるようになった。年齢はいくつか、指は何本か、皿は何枚か、銭はいくらか、鼠を何匹捕ったか――あらゆる問いに一声も誤らず鳴いて答えると評判になった。著者は、縞が登美の膝の上でしか答えないことから、少女がひそかに膝を動かす合図で鳴かせる好奇のからくり(コックリの類)と解している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・明治(妖怪学))
『妖怪博士』井上円了による『迷信の諸相・宗教の真相』。迷信を道理に背くことを誤って信じる心理と定義し、妖怪学の立場から全国を巡遊して各地の迷信を実地に報告・批判する(迷信打破)。