毎夜十一時すぎに山口村の方角に一つの火の玉が現れる
どんな伝承か
信州の上田町に、山口の一つ火と称するものがある。毎夜十一時すぎになると、山口村の方角に当たって一つの火の玉が現れるという。土地の人はこれを狐狸か天狗の所為のように思っているが、格別に恐怖心を起こすでもない。各地にある狐火なども、毎年季節を定めて現れる所では、これを見ても人々は平気であるという。害もなく利もない迷信の一例として、龍灯や肥後の不知火、越中の蜃気楼などと並べて挙げられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・明治(妖怪学))
『妖怪博士』井上円了による『迷信の諸相・宗教の真相』。迷信を道理に背くことを誤って信じる心理と定義し、妖怪学の立場から全国を巡遊して各地の迷信を実地に報告・批判する(迷信打破)。