二 眉をかくす幽霊 <泉鏡花
どんな伝承か
泉鏡花が明治二十八年に発表した小品「妖怪年代記」の一節。金沢市古寺町の松川私塾に寄宿することになった山田には理由があった。この私塾はもと旗野という千石取りの武家屋敷で、血天井・開かずの間・庭の竹藪という三つの不思議を伝えていたためである。旗野家に仕えた妾お村は、寵愛を妬んだ朋輩のお春に竹藪で虫責めにされたうえ、天井から吊るされて斬り殺された。その血が天井に付いて消えず、以来「血天井」と呼ばれるようになったと伝わる。お村を殺したお春はやがて蜘蛛に取り憑かれて悶死し、旗野自身も正気を失って竹の切り口に倒れ、胸を貫かれて死んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路・幽霊・文学史・昭和)