本堂の骨壺から聞こえた声
どんな伝承か
浄源坊の死後、その姿を見たという話が相次いだため、著者らは蹴上の寺の本堂へ行き、一番奥の棚に安置してあった骨壺を下ろしてきた。住職が一度経を上げてからでなければ壺を開けてはいけないというので囲炉裏端で待ち、経が済んだ後、暗い蠟燭の光の中でそっと蓋を開けると骨はもとのとおり入っていた。ふと聞くと仏座の奥の方でことりことりと妙な音がし、耳を澄ますとそれは生前の浄源坊の吃ったような枯れた声で、「中川さん、中川さん」と確かに二声呼んだ。その晩は寺に泊まって様々な不思議な音響を聞いた。中川は一人で大学へ出かけ、微電気を計る機械を借りてきて夜通し計測にかかったが、残念ながら何のしるしも現れなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊界五十年(長田幹彦・昭和中期~後期(推定1960年代~1970年代))
霊媒実験と透視(霊界五十年)/放送局・邸宅の幽霊/自殺者の霊と幽霊屋敷/作家長田幹彦の心霊体験/明治〜昭和の心霊交遊