神様がタコを予告する
どんな伝承か
甲斐駒ヶ岳から巫女の老婆と下山する途中、老婆は道連れの烏天狗の神と話し続け、里宮に着いたらもてなすと約束したと著者に通訳した。山に三日入っていて今日の配給に何が来るか分からないと言うと、神は今日の配給所にはタコとイワシしか上がらないと告げ、老婆はタコを供えると約束したという。神もタコを食べるのかと著者が茶化すと、老婆は無礼を叱った。里宮でもてなされた帰り、バス終点の四つ角にある配給所のよろず屋の黒板に、本日の配給としてタコとイワシと書かれていた。店主は、タコはついさっき届いたが、このあたりには滅多に来ないと話した。
原典より
神様は、きょう配給所へはタコとイワシしか上がって来ないぞといわれたので、それではタコを差し上げましょう、とお約束したのだ」—— 続 山だ原始人だ幽霊だ(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・1972年(昭和47年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
続 山だ原始人だ幽霊だ(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・1972年(昭和47年))
『続 山だ原始人だ幽霊だ』は、西丸震哉の随筆集で、あとがきの日付は昭和四十七年三月十日である。出版の都合で前後編に分けたうちの後編にあたり、ニューギニアやニューブリテン島、トロブリアンド島の部族を訪ねた探訪記と原始社会の食生活論に続いて、幽霊についての自説と、自身や身内が出会った怪談を収める。終わりには手相、テレパシー、呪い殺し、雨やみの術、インドから自宅へ魂を飛ばす実験の話が並び、カバーと挿絵も著者が描いたとあとがきにある。