国道429号を埋めるシカの群れ
どんな伝承か
平成二十年代前半のある日、著者は兵庫県宍粟市千種町から同市波賀町斉木に至る国道429号を、未明から薄暮にかけて走った。山中をぬう道で交通量は昼でも少なく、山を越すあいだ一台の車とも出会わなかった。その代わり、三〇頭を軽く超すシカを目撃した。千種を出はずれる前から民家や畑のわきを悠々と歩く姿が目につき、車のライトが当たるたびに目がぴかりと光った。短い峠では四、五頭の群れもいた。斉木の先の国道29号では、車にはねられた大きなオスジカが死んでいた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・現代)