警官がうなされた十二号室
どんな伝承か
浜口雄幸首相が東京駅頭で狙撃され、帝国大学の附属病院で手術を受けたとき、警視庁は腕利きの警官を送って病室を守らせた。一行の宿泊にあてられたのは、外科と庭を挟んで向かい合う内科の十二号室である。寝台は三つあったが、真ん中に寝た者はきまってうなされた。白い衣を着て髪を長く垂らした青白い女が扉を開けて入り、毛布の上から押さえつけるのである。柔道や剣道の有段者ばかりなので誰も言い出さなかったが、やがて話が合い、皆が同じ目に遭っていたと分かった。下足番はその部屋で死んだ女だと言葉少なに答えた。棟はのちに取り壊された。
原典より
* 一つの不思議 (293)* 喧嘩する石の狐 (294)* 美人に化けた貉 (295)* 墓を棄てる (296)* 狐の本音 (296)* 空中に消えた兵曹 (297)* 怪談黒子禍 (30…—— 日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年))
日本怪談実話(田中貢太郎)/幽霊と怪光の実話/怨霊と祟り・因果/死の前兆と怪音/各地の怪異実話