姉に逢いに来る妹の幽霊
どんな伝承か
大阪府東成郡長居村寺岡の花商山本辰吉の妻霜は、明治三十五年の夏、三男の末雄が三歳のときに感冒がもとで死んだ。霜は十五も年上の姉政を母のように慕い、末雄のことを頼みたくて息を引き取る瞬間まで「姉さんに逢いたい」と言ったが、政も病臥していて逢えなかった。葬儀の夜、政の夫伊之助が戸を叩く音に出てみても誰もいない。戻ると政は蒼い顔で、霜が棒縞の浴衣を着て来て何も言わずに泣いていたと言った。翌晩も現れ、町内では人魂の噂が立った。三日目の晩、伊之助が思うことを言えと諭すと、末雄のことが案じられて浮かばれないと伝わった。政が引き受けると答え、翌日から末雄を引き取ると、怪異は止んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年))
日本怪談実話(田中貢太郎)/幽霊と怪光の実話/怨霊と祟り・因果/死の前兆と怪音/各地の怪異実話