一
どんな伝承か
江戸時代、水戸藩士結城美濃守家に仕える中間が庭の掃除をしていた折、蛇が蛙を呑もうとしているのを見つけて追い払い、隣家の竹山へ投げ捨てた。逃がした蛙に向かって独り言のようにつぶやいていると、蛇は幾度も戻ってきて蛙を狙う。とうとう盥を蛙にかぶせて隠したところ、蛇は盥の周りを数十遍も回った末に息絶えた。盥を取りのけてみると、中に蛙の姿はなく、投げ捨てたはずの蛇の死骸だけが残っていた。一同は肝をつぶして驚いたが、程なくその死骸も消え失せたという。蛇を投げ捨てた堀は、今の茨城県庁前にあるものだと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊の世界 ― 小品集(田中千代松・心霊研究・エッセイ・昭和)