満州牡丹江省東寧
どんな伝承か
満州牡丹江省東寧での話。語り手は十九年二月、十四歳で茨城県内原の義勇軍訓練所へ入所した。三か月の訓練の後、満州国吉林省大石頭訓練所に移り、ソ連参戦の十日ほど前に牡丹江省東寧へ移った。二十年八月九日未明、ソ連機甲部隊が国境の川を渡って迫り、部落も火に包まれた。中隊も義勇軍もなくなり、一人で草原を歩くうちに、日本人の老兵二人と部落の焼け跡から出てきた十歳ぐらいの中国人の男の子、そして犬と一緒に歩き出した。数日して老兵が連れていた赤犬を撃ち、皆でその肉を煮て食った。翌朝、中国人の男の子と犬の頭は消えていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 軍隊』を小話単位で全712話収録。徴兵・新兵・上官・戦地・戦争の残虐・敗戦・収容所・軍隊の怪談など、軍隊と戦争にまつわる兵士たちの現代民話を全国(一部は戦地・海外)から採集し話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明189話・市区町村判明76話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。