大死一番と呼ばれた入神体験
どんな伝承か
無我の愛を実践するには夜に眠って身体を休めることさえ主義に反すると、河上肇は思いつめた。自ら睡眠を断つと決意した当夜、彼は死を考えたのではなく死を決したのだと後に書いている。小我を滅ぼして物と心の対立を超え、心で心を見ることができた瞬間こそ宗教的真理をつかんだ瞬間だというのである。禅でいう大死一番にあたるとも述べた。田中千代松は、この記述を心霊科学の報告を知る者だけが理解できる入神の体験と読み、憑依とみてよい節もあると指摘する。河上自身は付随して起きた異常な生理状態を説明できず一時的な発狂かとも言うが、田中はそれを精神病学者の鑑定に委ねるべき事柄ではないとした。
原典より
「私は死を考えたのではない、死を決したのだ、死に直面したのだ。—— 霊の世界 ― 小品集(田中千代松・心霊研究・エッセイ・昭和) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊の世界 ― 小品集(田中千代松・心霊研究・エッセイ・昭和)