屋久島
どんな伝承か
鹿児島県熊毛郡屋久島での話。屋久島は海岸にしか人家がなく、奥は山また山で寂しい。宮之浦の者が一里半ほど奥山でバンギを出していた。高い足場を組み、崖の上の大杉を伐り倒して板に挽き、縄でくくっては崖下へ下ろしていた。ある日、家から女が昼飯を持って来ることになっていたが、昼になっても来ないので男は空腹のまま働いていた。女はやっとの思いで崖下まで辿り着いたが、ちょうど男がバンギを下ろしている時で、不意に綱が切れてバンギが女の頭上に落ち、女は即死した。それからそこに幽霊が出て困るといい、遠くで聞くとよい声だがいかにも悲しそうな歌が聞こえるので、長く人が寄りつかなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。