駿河台の書店で芥川が見た分身
どんな伝承か
分身を見た夜、四人は鶯谷のささの雪という豆腐料理屋の一室で酒を酌み交わし、昼間の出来事を推理し合ったが答えは出なかった。そこで高見順がドッペル・ゲンゲルという語を説いた。ドイツ語で二重に歩く者の意で、二重人格と訳されるが人格の入れ替わりの意味はないという。芥川龍之介にも同じ題の短編があり、内容がそっくりだと高見は語った。芥川はお茶の水から駿河台の坂を下り、交差点を渡った角の中西屋書店の飾り窓をのぞいていた。ガラスに映った隣の男は自分自身で、肩に手をかけると嫌そうに向き直り、神保町の方へ足早に消えたという。
原典より
その夜、鶯谷のささの雪という豆腐料理の家の一室で、四人は酒をチビリチビリやりながら、今日見た、何とも言いようのない光景について、思いおもいの推理をめぐらしたのだった。—— お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・幽霊・怪異体験・昭和) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・幽霊・怪異体験・昭和)