妙法寺の墓地から出た石灯籠の祟り
どんな伝承か
昭和四十年の秋、広い墓地を歩く夢を見た。堀之内の妙法寺の境内に続く墓所らしく、空は青く墓石は白く、人影もない。背後から墨染めの衣をまとった老僧が宙を滑るように追ってきて、寺の物を盗んだから返せと激しく詰め寄る。身に覚えはないと言っても聞かず、家へ帰って見ろと怒鳴られたところで目が覚めた。思い当たって妙法寺のそばに住む兄の家を訪ねると、庭に見覚えのない石灯籠が据えてある。邪鬼が灯籠を担ぐ意匠なのに、妙な妖気が漂う。近所の石屋が代金も取らず置いていったものだといい、兄は急に目を悪くしていた。姉が問いただすと、石屋の女房は青くなって詫び、寺へ返すと言ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・幽霊・怪異体験・昭和)